事例紹介と法務トピック詳細

夫婦で向き合う相続準備のすゝめ

2022.05.30 更新

相続準備のすゝめ

東京都在住のRさんのお話し、2年前に夫が亡くなった際にパニックに陥ってしまいました。
夫がどのような資産を持っているのか、全く把握していませんでした。預金口座がどの銀行にあるのかさえもわからず、通帳を探しても見つからないため、各銀行や郵便局の窓口に行って、夫の口座が無いか聞き回る始末でした。Rさんは預金内容の照会を主要な金融機関に申請して、口座があることが分かったら、残高証明書と取引明細書を発行してもらいました。

今回Rさんの夫は大手数行だけに口座を開いていただけなので良かったのですが、もしネット銀行を利用していればさらに困難が伴ったことでしょう。ネット銀行では最初から通帳が発行されないことがほとんどで、さらに実店舗の窓口もほとんどありません。履歴等はパソコンやスマートフォンのメールなどを確認するしかありません。また、メールを確認するのにパスワードが必要な場合がほとんどで作業に困難を極めます。いざ相続の段階になって残された家族が口座の存在をつきとめるには、想像以上の時間と労力が必要となります。

また、もしRさんの夫が株式も保有していて証券口座をもっていたら、証券口座を見つけるのにも大変な労力を要するでしょう。株は昔とちがってネットで売り買いします。書類として手掛かりとなるものがほとんどなく、取引報告書などもペーパーレス化されていて、どこの証券会社に口座を持っているのかまったく見当がつきません。

相続発生後、重要なのが相続税の申告期限です。相続税の申告は原則として死後10カ月以内です。財産の把握でモタモタしていると申告期限が目前に差し迫ってきます。普段の生活で財布を別々にしている夫婦は珍しくありませんが、いずれはどちらかが財産を相続するという意識を今まで以上に強くもって、元気なうちにお互いの銀行口座や、資産情報を共有しておくことはとても大切です。高齢になれば健康面も不安材料になるので、どちらかがいつ病気で倒れても現金を引き出せるように暗証番号を共有しておいてもいいでしょう。紙の通帳だけでなく、ネット銀行のパスワードなども同様に共有しておくことも大切です。

配偶者との別れの日は必ずやってきます。そして、10カ月後には相続税の申告期限となります。生前から夫婦で相続に向き合わなければ、どちらかが亡くなったとき残されたほうは想像以上の時間と労力を要することになりかねません。どちらかが先に逝っても困らないように、元気なうちに夫婦で相続に向けた準備をしておくことを強くすゝめます。これを機に、夫婦で相続準備を意識し始めたのなら、ばんなリーガル司法書士事務所にお気軽にご相談ください。

外国会社の日本法人組織変更の事例 一人会社の取締役兼株主の生前対策

お問い合わせContact