2021.12.03 更新
動産譲渡登記がされたときには、当該動産について、民法178条の引渡しがあったものとみなされる(特例法3条1項)。
動産譲渡の対抗要件は、民法上の引渡し(民法178条)によって備えることができます。この引渡しには、現実の引渡し(民法182条1項)、簡易の引渡し(民法182条2項)、占有改定(民法183条)、指図による占有移転(民法184条)があり、譲渡人が担保設定後に引き続き動産を利用する譲渡担保の場合には、一般的に占有改定による引渡しが用いられます。
同一の動産の譲渡につき、動産譲渡登記を具備した譲受人と民法上の第三者対抗要件を具備した譲受人がいる場合の優劣は、それぞれの対抗要件具備時点の先後によって決まります。動産譲渡登記が民法上の対抗要件に優先するという登記優先ルールは採用されません。
占有改定による引渡しは外形上その存否が判然とせず、後日動産を取得する者が現れた際に、占有改定の有無や対抗要件具備の時間的先後関係を確定するうえで紛争が生じるおそれがあります。そこで、外形上明確な公示方法である動産譲渡登記を用いた対抗要件を具備することによって、紛争を未然に防止することができます。また、仮に紛争になった場合でも、占有改定の事実を立証する私署証書ではなく、登記事項証明書によって対抗要件具備の立証が容易になります。
高額な機械設備等の動産について活発に譲渡担保の目的として利用され、その際には動産譲渡登記がされるという取引が形成されている場合を前提に、譲受人が動産譲渡登記の有無を調査せずにその動産を譲り受けたときは、注意義務を尽くしたことにはならないとして過失が認定され、即時取得(民法192条)が認められない可能性が考えられます。
金融機関等が譲受人になっている場合に、動産譲渡登記の有無を調査しなかったときには、譲受人としてすべき注意義務を尽くしたとは言い難いものとして、即時取得が認められない可能性が考えられます。
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