2020.12.08 更新
認知症、知的障がい、精神障がい、発達障がいなどの理由で物事を判断する能力が十分ではない方は、財産管理(不動産・預貯金の管理、遺産分割協議書の相続手続など)や、身上保護(介護・福祉サービスの利用契約、施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を法的に保護し、支援するのが成年後見制度です。
成年後見制度には、「法定後見制度」と、「任意後見制度」の2種類があります。判断能力が不十分になる前は、「任意後見制度」へ。判断能力が不十分になってしまってからは、「法定後見制度」への対応となります。
ご本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所によって成年後見人等が選ばれる制度で、ご本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3つの制度が用意されています。また、申立時に後見人候補者を立てることにより希望の人を後見人に選任してもらうことが可能ですが、必ずしも後見人候補者が後見人に選任されるわけではありません。
法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(補助人・保佐人・成年後見人)が、ご本人の利益を考えながら、ご本人を代理して契約などの法律行為をしたり、ご本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、ご本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
ご本人に十分な判断能力があるうちに、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、判断能力が不十分になったときに、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされています。ご本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて任意後見契約の効力が生じます。この手続を申立てることができるのは、ご本人やその配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者です。
任意後見制度では後見人候補者が必ず後見人に選任されます。任意後見制度を利用することによりご本人のことをよく知っている親族の方や、信頼できる専門家に後見人候補者をお願いすることができます。
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